ファクタリング

ファクタリングの仕訳がわからない!仕訳方法をわかりやすく解説

資金調達方法としてファクタリングに関心はあれども、仕訳がわからずに躊躇している人は少なくありません。不明点は不安につながります。安心感をもってファクタリングを利用し、会計上の処理について理解を深めていくために、この記事をご参考ください。

ファクタリングの会計処理

ファクタリングを利用する場合の会計処理においては、仕訳のタイミングが主に三段階に分けられます。第一段階は、「売掛金が発生したタイミング」です。取引先に対して請求をかけたときが、売掛金発生のタイミングとされています。請求書を作成し、実際に請求の連絡をおこなったときだと考えるとわかりやすいです。

なお、このタイミングでの会計処理はファクタリング利用時特有のものではありません。通常の取引と同様の売掛金の処理をおこなう段階と変わりないといえます。

第二段階が「ファクタリング契約を結んだタイミング」です。ファクタリング契約を結んだときというのは、「債権譲渡契約締結時」と言い換えることができます。債権譲渡とは、その名のとおりの契約ですが、ファクタリングにおいては売掛債権を「売ります」、「買います」という、双方の意思を合致させる契約行為です。

そして第三段階が「売掛金を売却したお金が入金されたタイミング」となっています。

以上の全三段階がファクタリングの会計処理をおこなうタイミングです。各タイミングにおける具体的な勘定科目などは、あとで具体例を出しつつ解説をおこないます。

また、ファクタリング契約日と入金日が同日というパターンも少なくありません。第二段階と第三段階が同時にやってくる、ということです。この場合の会計処理についても、後ほど詳しく解説しています。

ファクタリングの勘定科目

ファクタリングの勘定科目は明確に決まっています。ファクタリングの段階ごとの仕訳についてはのちほど詳しく説明しますので、ここではファクタリングに特有といえる勘定科目について紹介しましょう。

ファクタリングに登場する特徴的な勘定科目が「売上債権売却損」です。2社間のファクタリングは売掛債権の売買であり、売買に際してはファクタリング手数料がかかります。手数料は利用するファクタリング会社や売掛債権の性質などによって異なりますが、「売掛債権の何%」というパーセンテージ方式が通常です。

売掛債権が100万円でファクタリング手数料が10%とすると、ファクタリングを利用したせいで10万円の「売却損」が出るという考え方があてはまります。この売却損を計上するための勘定科目が「売上債権売却損」というわけです。複雑に考えすぎず、ひとまずは「損は損として別に勘定する」とシンプルに覚えておくことをおすすめします。

ファクタリングの消費税の扱い

ファクタリングによる売掛債権の売却代金および手数料は消費税が課税されません。その理由を一言で説明すると、ファクタリングは「非課税取引」に該当するからです。通常、消費税が課税される取引のことを「課税取引」といいます。

具体的にどういった種類の取引が非課税取引に該当するのかについては、国税庁のサイトに詳しく記載されています。国税庁のサイトによると、ファクタリングによる売掛債権の売却代金は、非課税取引の分類でいうと「有価証券等の譲渡」にあたります。有価証券等と聞くと「株式」がまっさきに思い浮かぶかもしれません。株式の取引に消費税がかからないように、実は売掛債権といった金銭債権の譲渡にも消費税がかからないのです。

ファクタリングの売掛債権の売却には消費税が課税されないというポイントはしっかりと覚えておきましょう。

ファクタリングの手数料の扱い

ファクタリングの手数料は企業にとっては「損」だといえます。ここで気になるのが、ファクタリング手数料が「損金」に算入できるのか否かでしょう。損金に算入できれば、節税につながるので企業としては大きなメリットです。結論からいうと、ファクタリングの手数料を損金に算入することは可能です。ただし、無条件に算入できるわけではありません。ファクタリング手数料を損金に算入するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

条件1:売掛債権を受け取ったファクタリング会社が、その債権に係る権利を実質的な制約なしに使用することができること

つまり、ファクタリング会社が当該売掛債権を別の第三者へ自由に譲渡できることが条件その1です。

条件2:売却した売掛債権を支払期日前に買い戻す権利および義務を有してないこと

支払い日までに売掛債権を買い戻すことができる、ないし買い戻さなければならないといった特約が付されている場合は、ファクタリング手数料を損金に算入することはできません。

注意したいのは、条件1と2の「どちらか一方」ではなく「両方」を満たす必要がある点です。あらかじめファクタリング手数料を損金に算入するねらいがあるならば、2つの条件を念頭においてファクタリング利用を検討することをおすすめします。

ファクタリングの仕訳例

ここからは、具体的なファクタリングの仕訳例について段階的にみていきます。

売掛金の仕訳

ファクタリングの勘定科目や仕訳について、段階をおってみていきましょう。分かりやすいように、売掛金が100万円、ファクタリング手数料が売掛金の10%というケースを例にして解説します。

まずは、売掛金(売掛債権)が発生した段階の勘定科目です。勘定科目の呼称など細かな部分については社内や業種による差異もあります。売掛債権が発生したとき、貸借対照表の勘定科目には、

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売掛金 100万円 売上 100万円

とされます。この点は、ファクタリング利用の有無に関わらずほとんどの取引において共通する部分でしょう。

契約時の仕訳

続いて、ファクタリング契約締結時の勘定科目は次のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
未収入金 100万円 売掛金 100万円

ちなみに、未収入金と売掛金は混同されがちですが、厳密にみると異なります。売掛金は通常の営業取引により発生する会社の売上代金などであるのに対し、未収入金は会社が資産などを売却、提供したことにより発生した未回収の代金です。発生の原因が会社の「通常取引かそれ以外か」によって分類が違ってくると考えればわかりやすいかもしれません。

ファクタリングによって売掛債権を売却するというのは会社の通常営業による取引とは言えないので、借方勘定科目が「未収入金」となります。

入金時の仕訳

売掛債権の売却代金が入金されたときの勘定科目は以下のとおりです。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 90万円 未収入金 100万円
売上債権売却損 10万円    

例示したケースにおいては、ファクタリングの手数料10%分の10万円が借方勘定科目に「売上債権売却損」といった仕訳になります。売上債権売却損とは、読んで字のごとく、「売掛債権の譲渡に伴って発生した損失」を計上するための科目です。

使用する会計ソフトによっては、「売上債権売却損」ではなく「売掛債権譲渡損」など微妙に異なる呼称で登録されているかもしれません。なお、該当する科目自体が見当たらない場合は、「雑損失」「その他雑支出」といった科目で計上することも可能です。

契約と入金が同時の場合の仕訳

ファクタリング契約と入金が同時の場合の仕訳は次のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 90万円 売掛金 100万円
売上債権売却損 10万円    

契約と入金が同時の場合は、上で解説した第二段階「ファクタリング契約締結時」の会計処理を飛ばす形で、いきなり第三段階の仕訳です。会計処理の手間が一段階分はぶけるという点を考えると、「契約と入金が同時かどうか」というのもファクタリング会社選定の基準になるでしょう。

ファクタリングのオフバランス化

ファクタリングのオフバランス化やそのメリットと注意点について説明していきます。オフバランス化によって会計状況を健全に見せられる点はファクタリングの強みではありますが、濫用に陥らないように注意を払わなければいけません。

オフバランス化とは

オフバランス化とは、貸借対照表から資産や負債を消す、もしくは置き換えることによって会計が健全であるような外形を作り出すことです。貸借対照表から資産や負債を消すとはいっても無制限ではなく、もちろん法令に反しない範囲内で行うことが求められます。会計の健全さは企業価値に直結するため、ファクタリングは単なる資金調達の手段としてだけではなくオフバランス化のツールとしても優秀なのです。

ファクタリングによるオフバランス化の仕組みは、いたってシンプルです。ファクタリングにより、資産として計上中の売掛金が預金に形をかえます。すると、貸借対照表上で売掛金が消え、さらにその一部は売却損としてなくなるわけですから、ファクタリング前よりも資産が減るのです。資産は少なく、利益は多くという会計の健全性がここで向上します。

オフバランス化のメリットと注意点

オフバランス化のメリットは、ROAの向上にあります。ROAとは「総資産利益率」のことで、企業がその資本を元としてどれだけの収益をあげているかを判断する指標の一つです。ROAが高ければ高いほど優良企業であると判断されやすいといえます。

オフバランス化によって貸借対照表上の資産が少なくなり、結果としてROAが向上するのであれば、積極的に行いたいと考える経営者の方は多いでしょう。

ファクタリングによるオフバランス化を狙う場合に気を付ける点があるとすれば、やはり手数料の存在です。ファクタリングの手数料は、高ければ20%程度に設定されていることもあります。1,000万円の売掛債権を20%の手数料でファクタリングしたとすると、売掛債権売却損は実に200万円にのぼる計算です。ファクタリングを多く利用すればするほど、経常利益を圧迫しかねず、利益率が下がるおそれがあるということも忘れてはいけません。

ファクタリングを正しく仕訳しよう

ファクタリングの仕訳は、内容を見ると単純におさまるものが多いです。「売掛債権売却損」という勘定科目がソフトに登録されていなかったとしても、「雑支出」などとして計上可能なので仕訳上困るシーンも少ないでしょう。

ファクタリングは利用しやすい資金調達方法の1つであり、オフバランス化も望めるという一石二鳥の手法に見えます。しかし、メリットだけに気をとられていると、思わぬリスクに足をとられてしまうかもしれません。ファクタリング利用の際は、メリットとデメリットをじっくりと天秤にかけ、会計上の処理もぬかりなく進めていくようにしましょう。

-ファクタリング

© 2020 資金調達アンテナ Powered by AFFINGER5