ファクタリング

国際ファクタリングとは?利用時の流れとメリット・デメリットを解説

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却することによって支払期日前の資金化を叶える手法です。

しかし、国際ファクタリングは、通常のファクタリングとは根本的に異なります。

ここでは、国際ファクタリングの流れや、メリット、デメリットなどを解説しているので順番に理解していきましょう。

国際ファクタリングとは?

国際ファクタリングとは、一言でいうと「貿易取引時に利用するファクタリング」です。

海外企業に商品を輸出する企業が輸入企業に対して取得する売掛債権について、ファクタリング会社から信用保証を受けるという枠組みとなっています。

一般的なファクタリングは、売掛債権が発生してからファクタリング契約を締結します。

発生した売掛債権を、支払期日前にファクタリング会社に売却することでキャッシュフローを改善するのが通常のファクタリングの主な目的です。

一方、国際ファクタリングは輸入企業との取引前にファクタリング手続きに入ります。

これは、国際ファクタリングが、キャッシュフローの改善だけでなく、海外企業との取引の安全確保を主な目的としているからです。

詳細は後述するので、まずは根本的な違いとして理解しておきましょう。

国際ファクタリングの流れは特殊

国際ファクタリングのおおまかな流れは下記のとおりであり、一般的なファクタリングとそれほど違いはありません。

国際ファクタリングのおおまかな流れ

  1. 輸出企業と輸入企業が取引
  2. 国際ファクタリングを利用する旨を通知
  3. 輸出企業から国内ファクタリング会社へ引受依頼をする
  4. 国内ファクタリング会社が海外ファクタリング会社へ引受依頼する
  5. 調査結果の確認および契約
  6. 輸出手続き
  7. 証明書類(B/L)の提出と支払い

一般的なファクタリングでは2社もしくは3社が契約に関与するのに対し、国際ファクタリングでは4社が共同して手続きを進めるという違いがあります。

輸出企業と輸入企業が取引

ファクタリングは、売掛債権などなんらかの債権の存在を前提としています。

つまり、債権があってこそのファクタリングなので、債権発生原因となる取引なくしてファクタリングの手続きには進めません。

国際ファクタリングもその点は同様で、具体的な手続きに輸出企業A(以下A社とします)と輸入企業(以下B社とします)との間におけるなんらかの取引により、債権が発生している必要があります。

国際ファクタリングを利用する旨を通知

A社とB社の取引後、国際ファクタリングを利用するための最初のアクションを起こすのは輸出企業であるA社です。

A社は、B社への売掛債権について国際ファクタリングを利用する旨の通知をB社に対して行います。

もしも、この段階でB社が国際ファクタリングを断れば、A社は国際ファクタリングを利用することはできません。

また、そもそも、国際ファクタリングの審査に落ちてしまうと利用できないため、B社からの承諾を得ていたとしても最終的に利用できなくなる可能性がある点は留意しておく必要があります。

輸出企業から国内ファクタリング会社へ引受依頼をする

B社から国際ファクタリングの利用について承諾を得たら、A社は次に国内のファクタリング会社へ引き受け依頼を行います。

ここでいう引き受け依頼とは、一般的なファクタリングでいうところの利用申込みと同様で、簡単に言うと売掛債権の買取依頼です。

国内ファクタリング会社が海外ファクタリング会社へ引受依頼する

A社から引受依頼を受けた国内ファクタリング会社は、B社の現地ファクタリング会社(海外ファクタリング会社)に対してさらに引受依頼を行います。

この引受依頼はA社が行う必要はない点は覚えておきましょう。

なお、ファクタリングには審査がつきものですが、国際ファクタリングにおいて審査を行うのは海外ファクタリング会社です。

調査結果の確認および契約

海外ファクタリング会社の審査が終われば、次はいよいよファクタリング契約手続きに進みます。

ちなみに、海外ファクタリング会社の審査に落ちると、当然ながらファクタリングは利用できません。

契約の当事者となるのは、A社と国内ファクタリング会社です。

国内ファクタリング会社は、海外ファクタリング会社の調査結果をしっかりと確認したうえでファクタリング契約を締結するかどうかを決定します。

海外ファクタリング会社は契約当事者にはならないので、注意が必要です。

輸出手続き

国内ファクタリング会社とファクタリング契約を締結したあとに、ようやくA社は輸出手続きにとりかかります。

つまり、A社は、B社へ商品を納品する前にファクタリング契約を締結しているのです。

通常のファクタリングでは商品納品後にファクタリング契約を締結するので、この点は非常に大きな違いといえます。

ケースバイケースではありますが、最初にA社とB社が取引をしてから輸出までは、およそ1カ月以上の期間を要すると考えておきましょう。

証明書類(B/L)の提出と支払い

A社は、海外へ商品を輸出したあとは、書面提出の手続きに移ります。

提出する書面は「B/L(Bill of Landing)」等で、提出先は国内ファクタリング会社です。

B/Lは、貨物を船会社に引き渡したことや、船会社が貨物を無事に受取人へ引き渡すことの約束を称する書面であり、国内ファクタリング会社へは「確かに出荷しましたよ」という旨の証明書として提出します。

書類に問題がなければ、まず海外ファクタリング会社から国内ファクタリング会社へ支払いがされます。

国内ファクタリング会社は、そこからさらに利用者であるA社へ支払いをするという流れです。

国際ファクタリングと信用状(L/C)の違い

国際ファクタリングとしばしば比較されるのが「信用状(L/C)」と呼ばれるものです。

L/Cの基礎知識を知っておくことは、国際ファクタリングのさらなる理解へつながります。

なぜなら、L/Cとファクタリングは似たようなシーンで利用されることが多いからです。

L/Cとは、簡単にいうと、日本の銀行と海外の現地銀行が輸出企業と輸入企業の中間に入り、取引における支払を保証することを指します

L/Cでは、国際ファクタリングとは異なり、利用について輸入企業の承諾を得ておく必要はありません。

ただし、輸入企業が支払わない場合などのリスクは銀行が負います。

また、L/Cの利用審査は銀行が行うという点や、手続きが複雑な点を踏まえて考えると、多くの企業にとってはファクタリングに比べてハードルが高くなりがちです。

国際ファクタリングのメリット

ここからは、国際ファクタリングのメリットを以下の順番で解説していきます。

国際ファクタリングのメリット

  • 海外債権を安全に現金化できる
  • 輸入企業(取引先)の与信判断ができる
  • 審査ハードルが比較的低い
  • 早期に現金化ができる

海外企業との取引は、様々な面で、国内企業との取引よりもリスクが高くなりがちです。

特に、輸入企業からの債権回収不能リスクは輸出企業にとって最大の懸念事項といえるでしょう。

国際ファクタリングを利用することで、輸入企業は、輸出企業からの債権回収不能リスクを最大限軽減できます。

国内ファクタリング会社と海外ファクタリング会社が間に入ることで、万が一輸出企業が支払不能になっても、輸入企業はリスクを負わずにすむのです。

似たような機能を持つL/Cよりも手続きが簡単なうえに、基本的に債権回収については100%保証されます。

このように、海外企業との取引の安全を確保するためには、国際ファクタリングはうってつけの手法なのです。

輸入企業(取引先)の与信判断ができる

国際ファクタリングを利用することで、取引先である海外企業の与信判断ができるという副産物的なメリットも享受できます。

海外企業の与信判断というのは、国内のいち企業が行うには非常に骨が折れる作業です。

やはり、海外企業の与信判断は、海外の現地の専門企業に任せるのが安全でしょう。

国際ファクタリングなら、海外ファクタリング企業が必ず取引先の与信判断を行ってくれるため安全性が高くなりますし、自社で行う手間を削減することもできます。

審査ハードルが比較的低い

一般的なファクタリングは、銀行融資などよりも審査のハードルが低い傾向にあります。

同様に、国際ファクタリングはL/Cに比較して審査に通りやすいのは事実です。

国際ファクタリングとL/Cで審査のハードルに差が出る理由は、審査主体の違いによるところが大きくなっています。

L/Cでは、国内の銀行が輸入企業の与信判断をするのに対し、国内ファクタリングでは海外ファクタリング会社が輸入企業の審査を行います。

そもそも、国内銀行による審査が厳しいため、海外ファクタリング会社による審査は相対的に緩く感じられるのが実態です。

早期に現金化ができる

国際ファクタリングなら、L/Cに比べて、輸入企業に対する債権を早期に資金化できるというメリットを得られます。

早期の資金化を支えているのは、審査スピードの早さです。

国際ファクタリングはL/Cに比べて審査スピードが早く、その分資金化のスピードにも大きな差が生じているのが現状になります。

また、国際ファクタリングに必要な書類もL/Cに比べてシンプルなことも、早期の資金化を可能にしている要因のひとつだといえるでしょう。

国際ファクタリングのデメリット

メリットだらけにみえる国際ファクタリングにも、以下のようなデメリットがあります。

国際ファクタリングのデメリット

  • 係争など保証されない事案もある
  • 手数料が高い
  • 輸入企業の承諾は必須
  • 利用できるケースが少ない
  • 保証期間は180日以内が一般的

順番に、詳しく解説していきます。

係争など保証されない事案もある

海外企業との取引は、係争や紛争などのリスクが国内企業との取引よりも大きくなります。

国際ファクタリングでは、残念ながら、係争や紛争が生じた場合のリスクには対応していません。

カントリーリスクの対応には、別の手法を用意しておく必要があります。

手数料が高い

国際ファクタリングは、一般的なファクタリングよりも手数料が高いというデメリットがあります。

国際ファクタリングの手数料が高くなりやすいのは、その構造上仕方のないことかもしれません。

海外のファクタリング会社が輸入企業の調査をおこなうための費用までをも利用者がすべて負担しなければならないからです。

その他にも、一般的なファクタリングよりも手続きが複雑であることも、国際ファクタリングの手数料が高額な理由のひとつとなっています。

具体的な手数料についてはファクタリング会社ごとに異なるため、まずは事前に見積りをとって確認しておきましょう。

輸入企業の承諾は必須

国際ファクタリングでは、輸入企業の承諾なくしてファクタリング契約を締結することはできません。

いくら輸出企業がファクタリングを利用したくても、輸出企業が承諾してくれなければ、利用の途は絶たれてしまいます。

輸入企業が他社の意向に左右されてしまうというのは、資金調達手段としては重大な欠点です。

利用できるケースが少ない

国際ファクタリングは、どのような取引にも対応しているわけではありません。

ファクタリング会社にとって国際ファクタリングは通常のファクタリングよりもはるかに複雑で手間のかかる手続きです。

そのため、小口の案件の受注に対しては消極的な傾向があります。

そもそも、国際ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社が少ないのも難点です。

輸入企業に対する債権が少額の場合は国際ファクタリングを利用できないかもしれないため、ファクタリング会社に対する事前確認は欠かさずにおきましょう。

保証期間は180日以内が一般的

国際ファクタリングでは、国内ファクタリング会社が輸出企業に対して支払いを保証してくれる期間が「180日」と定められているのが一般的です。

しかし、船便は時間がかかるため、取引にかかる期間が保証期間を超えてしまうリスクは十分考えられます。

アクシデントによる長期化も懸念されるところです。

180日という保証期間内で十分だと確実視される取引に絞って利用を検討することをおすすめします。

国際ファクタリングの流れを知ろう

国際ファクタリングの流れは、一般的な3社間ファクタリングと似ています。

しかし、国際ファクタリング特有のルールも少なくないため、利用に際しては事前の情報収集が必須です。

メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで、国際ファクタリングを利用するかどうかを検討しましょう。

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